ボクシングバンタム級で、井上尚弥選手が2022年12月13日ポールバトラー選手に11ラウンドKO勝ちして、4団体統一王者に!
というのは多くの方がニュースで見て、ご存知だと思います。
しかし、ボクシングとかに興味がなかったりする方は、「井上尚弥って亀田とかより強いの?」「何がそんなにすごいの?」くらいにしか思っていないかもしれません。
結論から言うと、「歴史上最もすごい」です!
野球のメジャーリーグで言うなら、大谷翔平選手よりすごいことを成し遂げたかもしれません。
今回はそんなボクシング初心者の方に、井上尚弥選手がどれだけすごいことをやったのか、というのを簡単にまとめてみました。
というのも、私はプロレス公演をやったりしていますが、そんなにプロレスに詳しいわけではなく(汗)ボクシングは逆に、高校生時代からお小遣いを、ボクシングマガジンの購入と、WOWOWの視聴料に使うような子供で、録画したエキサイトマッチをずっとヘビロテしていました。
なのでボクシング経験はないのですが、かなり長年ボクシングを見てきています。
そんなボクシング視聴人生を振り返っても、井上尚弥選手のような世界的スーパースターが日本から出る日が来るなんて、高校生の私は想像もしてなかったでしょう。
高校生時代のボクシングといえば、浜田剛史さんが日本人では珍しい中量級という階級で世界チャンピオンになり、その後六車卓也さん、井岡弘樹さんと、私の居住地である大阪から誕生します。
そして今井上尚弥選手が所属する大橋ジムの会長、大橋秀行さんが爆発的なパンチ力で世界王者になり、レパード玉熊さん、畑中清詞さんがチャンピオンになります。
その後、日本ボクシング界のカリスマ、辰吉丈一郎さんが当時日本国内最短新記録のプロ8戦目で世界チャンピオンになります。
この試合は守口市民体育館で行われたんですが、当時高校3年生の私は同級生と現地に見にいって、負けると思っていたのに、勝利し大興奮したのを覚えています。
そんな感じで流れていく日本ボクシング界ですが、これらのチャンピオンはほとんど防衛していません。
辰吉丈一郎さんも、初防衛戦でビクトルラバナレスに敗北したし、そもそも世界チャンピオンがいない、誕生しても初防衛できない、できたとしても一度だけ、みたいな時代が続きました。
辰吉丈一郎さんが世界チャンピオンになってから23年後、2014年4月6日、大田区総合体育館で井上尚弥選手がWBC世界ライトフライ級王者になります。
辰吉丈一郎さん(他にも数名)の日本国内最短記録8戦目を超える、6戦目での世界チャンピオン奪取で、井上尚弥選手の偉業ロードがスタートします。
そこから井上尚弥選手は、WBC世界ライトフライ級王者→WBO世界スーパーフライ級王者⇨WBAスーパー・WBC・IBF・WBO世界バンタム級統一王者になっていくという、世界3階級制覇を果たします。
統一王者の説明の前にまず、井上尚弥選手が何がすごいのかというと、スピードがすごいとかパンチ力がすごいとか、能力的に言うとすごいところはたくさんあると思います。
しかしボクシングを見たことがない人は、スピードがすごいとか言われてもみんな早いけど?みたいに思うかもしれませんので、今回は能力や技術的なボクシング的なことを語り出すと、キリがないしそこは専門家にお任せして、記録的なところだけにフォーカスしたいと思います。
先ほど国内最短記録のことはお伝えしましたが、井上尚弥選手がすごいのは、まずはKO率の高さです。
2022年12月16日現在、24戦24勝0敗21KOなわけですが、24勝のうち21回KOで勝っているというのは、ライトフライ級〜バンタム級という軽量級ではあり得ないKO率の高さです。
判定での決着は3試合しかないということなので。
ちなみに同じバンタム級の辰吉丈一郎さんといえば、KOというイメージでしたがそれでも20勝のうちKOは14回。
現役でいえば、京口紘人選手との日本人同士の王者統一戦でKO勝利で圧勝した、寺地拳四朗選手ですら20勝のうちKOは12回。
同じく現役最強日本人の一人、井岡一翔選手は29勝のうちKO勝利は15。
ですから体重が軽い軽量級は、パンチが軽い分判定になることが多く、KO率が50%超えていたら十分パンチ力がある方です。
それを井上尚弥選手は、24勝のうち21回KOで勝ってるので、KO率は87%と化け物クラスの数値です。
ちなみに日本人最重量級の世界チャンピオンといえば、ミドル級の竹原慎二さんと村田諒太さん。
ミドル級とい日本人最重量級で、ハードパンチが売りな竹原慎二さんでさえ24勝18KOで、KO率75%。
同じくハードパンチの村田諒太さんで、16勝13KOで、KO率81%。
井上尚弥選手は87%って、ミドル級のハードパンチャーより、KO率が高い軽量級ボクサーなんて、考えられないですね。
ちなみにボクシングを知らない人でも、パンチがすごい人ということで有名なのはマイクタイソンでしょう。
マイクタイソンは、ヘビー級という一番重い階級なので、KOが多い階級なんですがそこの中でもハードパンチャーで知られました。
そんなマイクタイソンは、50勝してKO勝ちが44試合。
KO率は88%なので、87%の井上尚弥選手はマイクタイソン級ということになりますが、何度も言いますが、井上尚弥選手はバンタム級という体重53キロの軽量級で、ヘビー級とは倍くらい体重が違います。
そう考えると、井上尚弥選手の脅威さが分かるのではないでしょうか。
そのKO率がもっとすごくなるデーターとしては、24戦して未だ無敗なわけなんですが、世界タイトルマッチが19戦あるんです。
ということは世界戦以外はたった5試合しかなく、19戦世界チャンピオンや世界チャンピオンレベルの人と試合をして、87%といKO率を誇っているんです。
考えられない数値ですね。
そしてそんな井上尚弥選手は、3階級を制覇しています。
ボクシングの階級というのは体重別に分かれていて、同じ階級同士の人、要は同じ体重同士の人しか試合ができません。
プロボクシングの階級は、以下の12に分かれます。
ミニマム級
ライトフライ級
フライ級
スーパーフライ級
バンタム級
スーパーバンタム級
フェザー級
スーパーフェザー級
ライト級
スーパーライト級
ウエルター級
スーパーウエルター級
ミドル級
スーパーミドル級
ライトヘビー級
クルーザー級
ヘビー級
井上尚弥選手は、ライトフライ級、スーパーフライ級、バンタム級の3階級で世界チャンピオンになっています。
ちなみにフライ級は飛ばしてスーパーフライ級に挑戦しているので、フライ級も世界チャンピオンになっていたら、4階級制覇でした。
日本人では、井岡一翔選手4階級制覇が最高。
3階級制覇が、井上尚弥選手の他に、田中恒成選手、亀田興毅さん、長谷川穂積さん、そして井上尚弥選手のフィジカルトレーナー八重樫東さん。
ちなみに世界で見ると、オスカー・デラ・ホーヤとマニー・パッキャオの6階級が最多記録。
5階級で世界チャンピオンになったのが、トーマス・ハーンズ、シュガー・レイ・レナード、フロイド・メイウェザー・ジュニア、ホルヘ・アルセ、そして井上尚弥選手と2度戦ったノニト・ドネアがいます。
次に井上尚弥選手がスーパーバンタム級で世界チャンピオンになれば、4階級制覇となりますね。
そう考えると、複数階級制覇というのは、今の時代の主流なので、珍しいわけではありません。
すごいのは今回の、4団体統一王者というやつです。
まず4団体とは何かというと、ボクシングには
WBA(世界ボクシング協会World Boxing Association)
WBC(世界ボクシング評議会World Boxing Council)
IBF(国際ボクシング連盟International Boxing Federation)
WBO(世界ボクシング機構World Boxing Organization)
という4つの団体があり、それぞれの階級で世界チャンピオンがいるという状態です。
ですから例えば、同じバンタム級でも、それぞれの団体にチャンピオンがいるので、バンタム級の世界チャンピオンは4人いる、みたいな状態が通常です。
元々はWBAがアメリカで1921年に誕生して、WBAから分裂するような形で、1966年にWBCが誕生しています。
この2団体の時代が長く、しかも仲間割れ状態でWBCが誕生しているので、それぞれで世界チャンピオンがいて対立的な立場なので、統一戦をやるというよりは、接触しないという感じが強かったので統一戦が生まれることが、あまりありませんでした。
実際渡辺二郎さんも、WBA世界スーパーフライ級王者の時にWBCスーパーフライ級王者と統一戦を行おうとしたんですがWBAに認められず、強行してWBAのベルトを剥奪されています。
それが最近は、統一戦がOKな空気が出来てきたり、WBSSという全団体のチャンピオンと世界ランカーを集めて、トーナメント形式で一番強いチャンピオンを決めよう、という大会が誕生したりなどで、統一チャンピオンが増加の傾向にあるのが、昨今のボクシング業界の風潮です。
それでも同時に世界チャンピオンに2回以上なる、という統一チャンピオンというのは至難の業で、4団体統一王者というのは、歴史上9人しかいません。
①バーナード・ホプキンス(米) IBF→WBC→WBA→WBCミドル級(2004年)
②ジャーメイン・テイラー(米) ホプキンスから一気に4本のベルトを奪取(2005年)
③テレンス・クロフォード(米) WBO→WBC→IBF&WBAS・ライト級(2017年)
④クルーザー級 オレクサンドル・ウシク(ウクライナ) WBO→WBC→IBF&WBAクルーザー級(2018年)
⑤ジョシュ・テイラー(英) IBF→WBA→WBC&WBOS・ライト級(2021年)
⑥サウル“カネロ”アルバレス(メキシコ) WBA→WBC→WBO→IBFS・ミドル級(2021年)
⑦2022年 ジャーメル・チャーロ(米) WBC→IBF&WBA→WBOS・ウェルター級(2022年)
⑧2022年 デビン・ヘイニー(米) WBC→IBF&WBA&WBOライト級(2022年)
⑨2022年 井上尚弥(大橋) =22年 WBA→IBF→WBC→WBOバンタム級
一つずつ4人に勝って、4団体の世界チャンピオンベルトを集めたのは、バーナード・ホプキンス、カネロ・アルバレス、井上尚弥選手の3人しかいません。
しかも全4試合KOでの世界統一王者奪取は、ボクシングの長い歴史上、井上尚弥選手しかいません。
ちなみに先ほどのマイクタイソンも、3団体の世界チャンピオン(マイクタイソンの時代は、WBOがなかったというのもありますが)
先ほど紹介した6階級制覇している、オスカー・デラ・ホーヤでさえ2団体統一。マニーパッキャオに至っては、統一チャンピオンにはなっていません。
5階級制覇しているシュガー・レイ・レナード、トーマス・ハーンズでさえ2団体。
朝倉未来選手や、那須川天心選手と試合した、50戦無敗で引退した歴史上唯一のボクサー、フロイド・メイウェザーJrでさえ3団体統一にとどまっています。
そして井上尚弥選手と2度対戦した、5階級制覇王者ノニト・ドネアも2団体統一までです(2階級で2団体統一)。
余談ですがこちらはWBSSの決勝戦、井上尚弥vsノニト・ドネアをさいたまスーパーアリーナに見にいった時の動画です。
ちなみに日本人で2団体統一王者になったのは、以下の方達。
海老原博幸 (WBA・WBCフライ級)
ファイティング原田 (WBA・WBCバンタム級)
沼田義明 (WBA・WBCスーパーフェザー級)
小林弘 (WBA・WBCスーパーフェザー級)
輪島功一 (WBA・WBCスーパーウェルター級)
渡辺二郎 (WBA・WBCスーパーフライ級)
井岡一翔 (WBA・WBCミニマム級)
高山勝成 (IBF・WBOミニマム級)
田口良一 (WBA・IBFライトフライ級)
寺地拳四朗(WBA・WBCライトフライ級)
2団体王者で10人しかおらず、3団体王者でさえいません。
ということで井上尚弥選手の凄さは、スピード、パンチ力、戦略、ディフェンス、足の速さなど、ボクシング的なことを言うとたくさんあるのですが、それは元ボクサーの方達のYouTubeなどでたくさん見れるので、今回は割愛し、データだけを集めてみました。
こんな世界トップレベルの世界チャンピオンが、少年時代からボクシングを見ている私的には、日本人から出てくるとは思いもしませんでした。
ブランディングコンサルタントのブログなのに、ブランディング的な話が全く出てこなかったので、最後に一つだけ入れようと思います(笑)
ここまでパーフェクトな井上尚弥選手が、敗北、失墜する時ってどんな時でしょうか。
ここまで技術も優れていたら、老化して行ってKOは減っていったとしても、負けることは容易に想像できず、フロイドメイウェザーJr以来の無敗でチャンピオンのまま引退、もかなり濃厚です。
あるとしたら、カウンターパンチャーやハードパンチャーによる、出会い頭の事故的な一発がたまたま当たってKO負け、くらいしかないと思います。
12ラウンド井上尚弥選手が支配されて、判定で負けるという結果はよっぽど減量失敗や体調不良などがないとあり得ないでしょう。
しかしそれもなさそうです、というのは次の話につながります。
もう一つ失墜する可能性があるとしたら、炎上やスキャンダルなどの社会的信用を失ってのものです。
井上尚弥選手ほどの実力者になると、ブランディングなんてする必要がなく、実力と実績だけでテレビにも引っ張りだこだしCMもつきまくるでしょう。
そこまでの実力者になると逆に、ある種文化人みたいな扱いを受け出すので、パパラッチもそういった隙を狙いたいものです。
しかし井上尚弥選手は、ゴシップどころかSNS上での炎上も一切ありません。
これはメジャーリーガーの、大谷翔平選手にも通ずるところかなと思います。
要はボクシングだけじゃなく、プライベートでのディフェンス能力もずば抜けて高いのが、井上尚弥選手の1番のブランディングなのです。
客観的に見て、世間の人たちがこういう人物像を持ってくれている、子供たちにこういう希望を与える人物として見られているというのが、しっかりわかっているのです。
井上尚弥選手くらいの成功を収めても、驕らず踏み外さず、世間からの見られ方をしっかり整えれているというのが、何よりのブランディングにつながり、大手企業のスポンサーやビッグマッチを掴み取る縁、運に繋がっているのではないかと思っています。
今後スーパーバンタム級、フェザー級と上がっていき、世界チャンピオンになればなるほど、より世界的スーパースターになっていき、世間の風当たりや粗探しも激しくなると思います。
それでも井上尚弥選手ほどの、客観的視点からくるブランディング力があれば、大丈夫そうですね。
ということで今回は、アジア人史上初、ボクシング4団体統一王者に輝いた、井上尚弥選手のすごいところまとめでした。
★その他ブランディング関連記事はこちら
・YouTuberヒカルさんが2023年早々に大逆転大成功した理由
・【絶賛の嵐】批判されまくった映画版スラムダンクが、大ヒットしたわけ『THE FIRST SLAM DUNK』
・ぱんちゃん璃奈逮捕の本当の理由は●●不足だった
・【ビジネス視点から見る】日本代表がW杯でまたもベスト16入りできなかった理由【ワールドカップ2022】
・青汁王子・三崎優太さんが、逮捕後ブランディング行ってお金以上に得れたものとは
★コンサルティング各種についてはこちら